インタビューやウェビナー、社内研修の動画に字幕を付け、必要な部分だけを残すカット編集を任されると、素材が長くなるほどどこから手を付けてよいか分かりにくくなる。動画編集ソフトの操作を新しく覚える時間も限られているなかで、無料プランでどこまで進められるのか、業務で扱う音声・映像データを外部にアップロードしてよいのかという疑問も残る。Vrewは、取り込んだ音声・動画をAIが自動で文字起こしし、そのテキストを編集するとカット編集と字幕作成が同時に進む動画編集ツールである。前提条件と無料プランの利用上限を担当者が事前に確認し、手順どおりに操作すれば、公式のデータ保護方針と利用規約の範囲内で書き出しまで完了できる。
Vrewとは何か:テキストベース動画編集の仕組み
Vrewは、動画・音声の書き起こしテキストを操作の起点に置く点が、タイムライン上で映像を直接扱う一般的な編集ソフトとの違いになっている。
音声・動画を自動でクリップとワードに分割する仕組み
Vrew公式サイトでは、動画・音声ファイルを読み込むとAIが自動で文字起こしを行い、その結果を文章単位の「クリップ」と単語単位の「ワード」に分割すると説明している。文章ごとに区切られるため話のまとまりを把握しやすく、単語単位の区切りは特定のフレーズだけを削除したい場合に使える。分量が多い動画でも、テキスト側から目的の場面を探せる。
「検索して編集」によるテキストベースのカット編集
文字起こしされたテキストは、「検索して編集」という機能で修正・削除できる。テキスト側で不要な文章を消すと、対応する映像の該当部分も同時にカットされる。話の言い淀みや繰り返しは、テキストを読みながら削除箇所を特定できるため、長尺の素材でも編集箇所を見つけやすい。
素材がなくてもAI音声とテキストだけで動画を作れる機能
Vrewでは、動画・音声素材を用意していない場合でも、入力したテキストとAI音声だけから動画を生成できる。撮影素材がまだない企画段階の台本を音声化して確認したい場合や、ナレーションだけの動画を作る場合に、この機能を使える。
文字起こしから字幕・カット編集までの操作手順
始める前に確認する前提条件(利用枠とアカウント)
作業を始める前に、担当者は無料(Free)プランの利用枠を確認しておく必要がある。無料プランでは、音声解析が月120分、AI音声生成が1万文字、翻訳が3万文字、AI画像生成が100枚までという上限があり、毎月1日にリセットされる。書き出した動画にはVrewの透かし(ウォーターマーク)が入り、無料プランのままでは削除できない。クラウドへのバックアップも、無料プランで最後まで残る制約。
月120分の音声解析枠をすでに使い切っている場合、担当者はその月の追加の文字起こし作業を中止し、翌月1日の枠のリセットを待つか、Light以上のプランへ契約を条件変更して作業を継続するかを判断する。複数本の動画をまとめて処理する場合は、着手前に残り枠を確認し、枠が足りない見込みであれば当月中の処理を見送る判断も必要になる。
音声・動画を取り込み自動文字起こしを実行する
担当者が動画または音声ファイルをVrewに取り込むと、AIによる自動文字起こしが始まる。処理が完了すると、文章単位のクリップと単語単位のワードに分かれたテキストが画面に表示される。この状態になれば取り込みと文字起こしは成功しており、次のテキスト編集の段階に進められる。
専門用語や社内システムの名称など固有名詞は誤認識されることがあるため、担当者は文字起こし結果を読み直して再検証する。誤りが数箇所にとどまる場合はテキスト上で該当箇所を直接修正してそのまま編集を継続し、専門用語の誤認識が多く実用に耐えない場合は、その素材についてVrewでの自動文字起こしを見送り、手動での書き起こしに切り替える。
テキストを編集して字幕とカット編集を仕上げる
担当者は「検索して編集」でテキストを読みながら、不要な発言や言い淀みを含む文章を削除する。削除すると対応する映像も同時にカットされる。残したテキストはそのまま字幕としても使われるため、字幕の文言を整えれば字幕付きの映像が仕上がる。
編集を終えたら書き出しを実行する。無料プランのまま書き出すと、ファイルにはVrewの透かしが入った状態で保存され、これが無料プランでの正常な完了状態になる。書き出し後の映像で字幕とカットのタイミングにずれがある場合、担当者は該当箇所のテキストを再検証し、必要な修正を加えたうえで書き出しをやり直す。
料金プラン(Free/Light/Standard/Business)と統合クレジット方式への移行
書き出し条件を左右するのは、契約しているプラン。透かしの解除とクラウドバックアップの可否は、Light以上に契約するかどうかで変わる。
無料(Free)プランの利用上限と書き出し条件
無料プランで書き出した動画には、Vrewの透かしが入ったままになり、クラウドバックアップも利用できない。作業中のプロジェクトファイルはローカル環境で管理する。利用枠の上限は前提条件で示したとおり、毎月1日にリセットされる。
Light・Standard・Businessの違いと年払い条件
有料プランはLight、Standard、Businessの3段階に分かれており、いずれも年払い契約が基本の料金体系になっている。年払い契約は月払い相当より安く設定されている。Light以上に契約すると、無料プランで入っていた透かしが解除される。Standard以上では、GPT-4を使った作文支援機能が追加で使える。具体的な月額・年額の金額は、公式の料金ページでも確認時点によって日本円表示が反映されない場合があるため、契約前に公式料金ページで金額を直接確認する必要がある。
2026年4月の統合クレジット方式移行で確認すべきこと
Vrewは2026年4月22日付で、音声解析、AI音声、翻訳、画像生成など機能ごとに分かれていた利用枠を、1つの統合クレジット方式へ変更した(2026年8月7日時点の公式サイト表示に基づく)。この変更により、プランごとの料金表示やクレジットの消費量に関する説明が、変更前の情報を扱った記事とは異なっている場合がある。契約を検討する担当者は、変更前の情報をもとにした記事ではなく、Vrew公式サイトの最新の料金ページを確認したうえで契約するかどうかを判断する。
業務利用前に確認するデータ保護方針と利用規約
社内の動画をVrewにアップロードする前に、データの扱いと生成物の権利について公式ページで確認できる範囲を、担当者が把握しておく。
アップロード素材はAIの学習に使われないという方針
Vrewのデータ保護方針では、ユーザーから明示的な許可を得ない限り、アップロードされた音声・動画ファイルにアクセスしないこと、またそれらのコンテンツをAIモデルの学習に利用しないことが明記されている。収集した情報についても、目的を達成した後は社内規定に従って削除するとされている。
生成した字幕・動画の商用利用と所有権の扱い
Vrewの利用規約では、Vrewというサービス自体を再販したり有料で転売したりすることは禁止されている一方、Vrewで作成した動画や字幕といった生成物を商業目的で利用することについては制限がない。AI生成物の所有権はユーザー側が保持し、商業・非商業を問わず利用できると定められている。
実際の業務利用で指摘されている注意点
業務での実利用では、専門用語やシステム名の認識精度、縦書き字幕への非対応、テンプレートの種類の少なさが課題として指摘されている。
社内特有の専門用語やシステム名の認識精度
ITreviewに投稿された利用者レビューでは、業種固有の専門用語や社内システムの名称について、自動文字起こしの認識精度が不安定になるという指摘がある。専門用語が多い動画を扱う担当者は、書き出す前にテキスト全体を読み直して再検証し、誤認識された固有名詞を修正しておく。
縦書き字幕やテンプレートの対応範囲
同じレビューでは、縦書きの字幕に対応していないことと、テンプレートやデザイン装飾の種類が限られていることも課題として挙げられている。字幕を縦書きで表示する必要がある場合、Vrew内では対応できないため、担当者は別の編集ソフトで縦書き字幕を追加するか、横書きでの字幕運用に切り替えるかを判断する必要がある。