MicrosoftやNVIDIAら、オープンウェイトAIの拙速な規制に反対。Anthropicは署名者一覧に含まれず

MicrosoftやNVIDIAら、オープンウェイトAIの拙速な規制に反対。Anthropicは署名者一覧に含まれず
画像:Microsoft

Microsoftは2026年7月24日、NVIDIAやOpenAI、Google、Metaなどと連名で、オープンウェイトAIへの拙速な規制を避けるよう米国の政策立案者に求める書簡「Open Weights and American AI Leadership」を公開した。

Microsoftの公開ページにある署名者一覧には77の企業・団体が並ぶ。 Anthropicの名前は含まれていない。

77の企業・団体がオープンウェイトAIの価値を訴える

書簡は、オープンウェイトモデルを、誰でもダウンロードし、内容を調べ、変更し、自社のインフラで動かせるAIモデルと定義する。 モデルをAPI経由で利用できるだけでなく、学習済みの重みを利用者が保持し、用途に合わせて検証・調整できる点が特徴だ。

署名者にはMicrosoft、NVIDIA、OpenAI、Google、Meta、IBM、AMD、GitHub、Hugging Face、Mistral、Cohere、Cloudflare、Mozilla、The Linux Foundation、Y Combinatorなどが名を連ねた。 モデル開発企業だけでなく、半導体、クラウド、セキュリティ、開発基盤、非営利団体、投資会社まで参加している。

書簡は、米国のAI分野の優位性を一つの最先端モデルだけで測るべきではないと主張する。 AIを産業や公共部門へ広く普及させる開かれたエコシステムを築けるかどうかが重要だとして、オープンウェイトモデルをその基盤に位置付けた。

一から学習せず、高性能モデルを用途に合わせて使える

書簡が最初に挙げる利点は、高性能なAIを利用できる組織の範囲が広がることだ。 新興企業、既存企業、大学、公共機関は、モデルを一から学習したり、すべての処理で最先端モデルの料金を負担したりせずに、公開されたモデルを土台として開発できる。

用途と費用に合うモデルを選び、特に高度な処理だけを最先端モデルへ任せ、日常的な処理には効率のよい特化型モデルを使う構成も取りやすくなる。 書簡は、工場、病院、農場、学校、中小企業の日常業務までAIを広げるには、この使い分けが経済面で重要になると説明している。

クラウドや半導体を含む競争と利用者の管理権を広げる

オープンウェイトによる競争は、モデル開発企業の間だけで起きるものではない。 書簡は、クラウド、半導体、アプリケーション、サービスの各層で複数の企業がモデルを構築・調整・提供できるようになり、技術革新とコスト低下につながると主張する。

利用企業が単一の提供元へ固定されにくくなることも利点に挙げた。 組織は自らのデータを管理しながらモデルを評価し、必要に応じて調整し、業務要件に合う場所へ配備できる。 モデルの上に蓄積した専門能力や知識を、提供元の都合だけで失わずに保持できるという考え方だ。

公開後の重みは開発元の管理外に置かれる

書簡は、オープンウェイトに固有のリスクも明記した。 一度公開した重みは元の開発企業による管理の外に置かれ、第三者が作った改変版を追跡したり、公開前の状態へ戻したりすることが難しくなる。

その一方で、書簡はこのリスクを理由にオープンウェイトを禁止すべきではないと主張する。 高度なAIを使うサイバー攻撃へ対抗する側にも同等の能力を持つモデルが必要であり、多くの研究者や開発者がモデルの挙動を調べることで、脆弱性の発見、対策の開発、評価やレッドチーミングを広げられるとしている。

計算資源と共有学習基盤への投資を政策立案者に要請

書簡は米国の政策立案者に対し、新興企業や研究者が利用できる計算資源を増やすよう求めた。 あわせて、データセット、開発ツール、評価フレームワークなど、複数の組織が共同で使える学習基盤への投資も提言している。

さらに、競争を妨げたり、AI開発を国外へ流出させたりするようなオープンモデルへの拙速な制限を避け、AIを各産業で活用するためのアプリケーション層を強化する必要があるとした。

正当な蒸留と違法な窃取を分けて扱うよう求める

政策提言では、AIモデルの「蒸留」の扱いにも踏み込んだ。 蒸留は、あるモデルの出力を別のモデルの学習や改善に使う手法で、モデル開発、評価、検証で広く利用されている。 書簡は、この正当な開発手法を不正な価値の抽出と同一視しないよう求めた。

クローズドモデルから違法に価値を取り出す行為には正当な懸念があるとしつつ、対処には蒸留技術全体を制限するのではなく、対象を絞った法的・商業的な枠組みを使うべきだと主張している。

Anthropicは署名者一覧に含まれず

Microsoftの公開ページにある77の署名者には、OpenAI、Google、Meta、Mistral、Cohereなど複数のAIモデル開発企業が含まれる。 一方、Anthropicの名前は掲載されていない。

書簡は、オープンウェイトAIが利用機会を広げ、競争を強め、米国の技術的な優位性を支えると結論付けている。 政策立案者に対し、公開後の管理が難しくなるリスクへ対処しながらも、オープンモデルそのものを広く制限しない制度設計を求めた形だ。

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