Webサイトを作りたいけれど、デザイナーやエンジニアを増やす余裕がない。そんな時に候補に挙がるのが、AIを使ったWebデザインです。文章で指示するだけでレイアウト案ができる、写真素材まで自動で用意できると聞くと便利そうに見えますが、実際にどこまで任せられ、何を人が確認すべきかは分かりにくいところです。
この記事では、AI Webデザインでできることを業務領域別に整理し、代表的なツール、プロンプトを書く時のコツ、導入手順までをまとめます。読み終えた時に、自社のどの工程からAIを試すか、公開前に何を確認するかを判断できる状態を目指します。
AI Webデザインとは
AI Webデザインは、生成AIをWebサイト制作の構成案作成、コード生成、画像や文章などの素材生成、公開前の品質診断に組み込む取り組みです。Figmaは、自然言語プロンプトからレイアウトを生成し、ヒーローセクションから問い合わせフォームまでを自動で作れる機能をFigma Makeとして提供しています。Figma公式ページを2026年7月21日に確認しました。
これまでのテンプレート型のWebサイト作成ツールは、あらかじめ用意された型に文字と画像を当てはめる形が中心でした。AI Webデザインでは、対象の業種や訴求内容を伝えると、構成案やコードそのものをAIが提案します。出力には事実誤認やブランドから外れた表現が混じることがあるため、公開前に人が確認する工程は変わらず必要です。
AI Webデザインでできること
AIに任せられる範囲を業務領域ごとに整理すると、用途と人が見るポイントの対応が見えてきます。
| 領域 | 入力 | AIが返すもの | 人が見るポイント |
|---|---|---|---|
| 構成案の生成 | 業種、訴求内容、参考サイト | ページ構成案、セクション案 | 導線の抜け、競合との差別化 |
| コード生成 | デザイン案、既存データ、連携先 | レスポンシブなコード一式 | 表示崩れ、アクセシビリティ |
| 画像・素材生成 | 用途、スタイル指定、参照画像 | 背景画像、装飾ビジュアル | 商用利用条件、権利、文字の可読性 |
| コピー生成 | ブランドの口調、訴求ポイント | 見出し・本文の候補 | 事実、誇張表現、ブランドの口調 |
| 品質診断 | 公開前のページ | コントラスト、SEO、タイポの指摘 | 指摘の優先度、対応要否 |
Framerは、AIエージェントがページやセクション、コピー、ビジュアルをプロジェクトへ直接作成し、コントラストやSEO、タイポといったサイト品質の診断まで行う機能を提供しています。Framer公式ページを2026年7月21日に確認しました。構成案とコードを同じAIに任せられる場合でも、画像・素材生成だけは専用の画像生成AIを組み合わせる進め方が一般的です。
AI Webデザインのメリット
繰り返し作業の時間を短くし、公開前に比較できる案の数を増やせます。たとえば、同じ訴求内容から複数のレイアウト案を作り、担当者は絞り込みと最終調整に時間を振り向けられます。
制作時間だけでなく、修正回数や差し戻し件数も記録すると、実際にどれだけ効率が上がったかが分かります。従来の外注や内製の制作フローと同じ期間・成果物で比べれば、継続利用の判断材料になります。
AI Webデザインのデメリットと注意点
| 失敗の兆候 | 考えられる原因 | 直し方 |
|---|---|---|
| 公開後にブランドの口調から外れていると指摘される | ブランドガイドラインを入力に含めていない | 承認済みの表現例とNGワードを先に渡す |
| 生成画像の文字が読みにくい、崩れている | 日本語文字入りの生成を苦手とするツールを使っている | 文字はデザインツールで組み直す工程に分ける |
| 表示が崩れる端末がある | 生成されたコードのレスポンシブ確認をしていない | 主要な画面幅で表示確認してから公開する |
| 入力素材の権利が確認できていない | 他者の写真やロゴをそのまま入力している | 自社素材か許諾済みの素材だけを入力する |
| アクセシビリティの指摘が多い | 品質診断機能を使っていない、または指摘を放置している | コントラストや代替テキストの指摘に対応してから公開する |
主なAI Webデザインツール
用途別に見ると、構成案とコードの生成を任せたい場合と、画像・素材の生成だけを別ツールに任せたい場合とで、選ぶツールが変わります。
| ツール | 主な用途 | 入力 | 公開前の確認 |
|---|---|---|---|
| Figma Make | ページ構成、レイアウト、プロトタイプ | プロンプト、参考サイト | 導線、既存デザインとの整合性 |
| Framer AI | ページ生成、コピー、品質診断 | プロンプト、ブランド情報 | 診断結果への対応、レスポンシブ確認 |
| Adobe Firefly | 背景画像、装飾ビジュアルの生成・編集 | プロンプト、参照画像 | 商用利用条件、文字の可読性 |
Adobe Fireflyの料金プラン、商用利用の条件、他の画像生成AIとの違いはAdobe Fireflyとはで詳しく解説しています。画像生成AI全体を比較したい場合は画像生成AIおすすめ比較も参考にしてください。
これらのツールの価格、プラン、機能範囲は変わります。契約前に公式ページで料金と利用上限を確認し、法人向けのデータ処理条件は見積もりや契約時に確かめてください。
プロンプトを使う時のコツ
AI Webデザインのプロンプトは、抽象的な言葉だけで指示すると、狙った印象から外れた結果になりやすいです。実務者の解説記事では、フォント名や配色のhexコードのように固有名詞で指定すると、結果が安定しやすいと紹介されています。Zennの実務記事を2026年7月21日に確認しました。
具体的には、見出し用と本文用のフォント名を分けて指定する、ボタンを押した時の動きを「0.3秒でふわっと浮かぶ」のように物理的な動きで説明する、配色は基本色・差し色・アクセントの比率をおおよそ6:3:1に決めて伝える、といった方法が紹介されています。同じ記事では、指示を詰め込みすぎる、抽象的な言葉ばかりで具体例を示さない、流行のスタイルを一度に混ぜすぎる、という3つの失敗パターンも指摘されています。最初は3〜5個の核となる指示に絞り、フォント名や色番号のような具体的な要素を必ず一つは含めると、狙いに近い結果になりやすくなります。
AI Webデザインを導入する流れ
- 現在の制作時間、修正回数、差し戻し件数などの基準値を残す。
- 対象工程を一つ選ぶ。例: LPの構成案作成、装飾画像の生成。
- 入力してよいブランド情報、素材、既存データの範囲を確かめる。
- 生成結果を公開前に確認する担当者と確認項目を決める。
- 既存の制作フローと同じ期間・成果物でAI利用を比べる。
- 修正回数、差し戻し、公開後の指摘から、継続、修正、中止を決める。
- 問題のない範囲だけ、対象工程やページ種別を広げる。
検証時は、通常の依頼に加えて、情報が不足した依頼やブランドと矛盾する依頼も試し、想定外の入力にどう応答するかを確認してください。
導入を成功させるポイント
検証前に、対象工程と評価条件を一枚の表にまとめておくと、判断がぶれません。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 対象工程 | 新商品LPの構成案とファーストビュー画像の生成 |
| 入力データ | 商品情報、ブランドガイド、参考サイト |
| AIの出力 | 構成案2案、ファーストビュー画像候補3案 |
| 確認する担当者 | デザイン担当が表示、マーケ担当が訴求、責任者が最終承認 |
| 停止条件 | ブランド逸脱、権利未確認の素材使用、表示崩れが1件でも発生 |
| 継続条件 | 従来工程と同等以上の品質で、構成案作成の時間を目標まで短縮 |
まとめ
AI Webデザインは、構成案作成、コード生成、画像・素材生成、品質診断に活用できます。ただし、生成結果をそのまま公開せず、ブランドの口調、表示崩れ、素材の権利、アクセシビリティは人が確認する必要があります。
導入時は、対象工程を一つに絞り、入力データと確認担当者を決めてから、既存の制作フローと同じ条件で比べてください。マーケティング活用全体の中での位置づけはAIマーケティング活用とは、画像素材生成の深掘りはAdobe Fireflyとはで確認できます。