Macでアプリを開き、文章をコピーし、AIへ貼り付け、結果を元の画面へ戻す。 Raycastは、この操作をキーボードから呼び出す一つの検索窓にまとめるランチャーです。
無料版だけでもアプリ起動、ファイル検索、クリップボード履歴、定型文を扱えます。 Raycast AIを加えると、選択中の文章の修正、AIとの会話、画面に映っている内容についての質問、拡張機能を使ったツール操作まで、同じ入口から進められます。 2026年8月2日時点の公式Manualと公式料金ページを基に、無料版の基本機能、Raycast AIの各機能、料金と権限を整理します。
RaycastはSpotlightの代わりになる操作ランチャー
Raycastを起動すると、画面中央の検索欄からアプリ、ファイル、コマンド、拡張機能を探せます。 検索結果をマウスでクリックするより、キーボードで候補を選び、そのまま処理を実行する使い方が中心です。
Spotlightとの違いは、検索した後の操作を自分で増やせることです。 コピー履歴の再利用、定型文の入力、ウィンドウの整列、開発用コマンドなどを、Raycast標準の機能や拡張機能として呼び出せます。
無料版では検索、履歴、定型文を使える
Raycastの基本機能は無料です。 Raycast公式サイトからMac版を入れると、アプリ起動、クリップボード履歴、クイックリンク、計算機、スニペット(定型文)、ウィンドウ管理を利用できます。
クリップボード履歴は、コピーしたテキスト、画像、ファイルを検索し、再利用する機能です。 スニペットは定型文を保存し、決めたキーワードから呼び出します。 ウィンドウ管理は、画面の左右分割や最大化などをコマンドから実行する機能です。
無料版でもRaycast AIの一部機能を使えますが、対象モデルとレート制限は有料プランと分かれています。 詳しい条件は次の「料金」の章で扱います。
Raycast AIは目的に応じて機能を使い分ける
Raycast AIには、短い質問をその場で終わらせるQuick AI、会話を続けるAI Chat、指示を保存して呼び出すAI Commands、拡張機能を会話から呼び出すAI Extensions、外部サーバーと接続するMCP(Model Context Protocol)があります。
| 機能 | 入力 | 返ってくるもの | 公式に案内されている役割 |
|---|---|---|---|
| Quick AI | 選択文や短い質問 | 要約、説明、修正文 | 選択したテキストやフリーテキストの質問にすぐ答える機能 |
| AI Chat | 質問、添付ファイル、会話履歴 | 複数往復の回答 | ピン留めやフォルダ分けができるチャットの作業スペース |
| AI Commands | 保存した指示と選択文 | 同じ形式の変換結果 | よく使うプロンプトをワンプレスのコマンドにする |
| AI Extensions | 会話と許可したツール | カレンダーやタスクの情報、実行結果 | 拡張機能に話しかけて作業を終わらせる |
| MCP | 接続した対応サーバー | 外部サービスの情報や操作結果 | MCPサーバーを接続してRaycast AIの範囲を広げる |
Quick AIはRoot Searchでの検索中にTabキーから呼び出せ、そこから⌘/Ctrl+JでAI Chatへそのまま移行できます。
AI Chatの入力欄にある「@」ボタンからは、ファイル、画像、Raycast Notes、ブラウザタブ、Web検索結果、スクリーンショット、カレンダーの予定などをまとめて添付できます。
役割の違いも明確です。 AI Commandsに含まれるコードの不具合検出は、選択した範囲のコードやエラーを説明する機能です。 リポジトリ全体を横断した編集やテスト実行は、AIコーディングツールを作業環境別に比較した記事で扱うエディタ型やCLI型のコーディングツールが担います。
AI Commandsはプロンプトをコマンドとして保存する
Raycast公式Manualは、AI Commandsを、繰り返し使うプロンプトをRaycastのコマンドとして呼び出す機能と説明しています。 組み込みのCommandには、文章の改善、文法とスペルの修正、平易な言い換え、文体を敬語や親しみやすい調子へ変える機能、コードの不具合検出、Webページの要約、Webページへの質問があります。
独自のCommandを作る場合、プロンプト本文に加えて、Root Searchに表示する名前とアイコン、使用するモデル、Creativity(発想の幅を5段階で調整)、Reasoning Effort(推論モデルの思考の深さ)、出力方法、変更箇所を強調表示するかどうか、整理用のタグを設定できます。
プロンプトには、前面のアプリで選択中のテキストを渡す{selection}や、実行時に入力欄を出す{argument}など、Dynamic Placeholderと呼ばれる差し込み変数を使えます。
出力方法は、結果をRaycastのウィンドウで開く「Open in Raycast」と、選択中のテキストを結果でそのまま置き換える「Replace Selection」から選べます。 組み込みCommandの一つ「Fix Spelling and Grammar」をワンキーで実行する機能がQuick Fixで、既定では右Shiftキーの2回押しに割り当てられています。 Quick Fixが入力欄の文字を書き換えるには、システム設定の「プライバシーとセキュリティ」からAccessibility権限を許可する必要があり、権限が足りない場合はRaycastが初回実行時に案内します。
Screen AwarenessとDictationは入力の手間を減らす
Screen Awarenessは、今見ている画面についてRaycast AIに質問する機能です。 フォーカスしているアプリの内容、選択中のテキスト、ウィンドウのスクリーンショットをまとめてAIへ送ります。 AI ChatやQuick AIで「Focused Window」を添付する、ホットキーで「Send Focused Window to AI」を実行する、または「@screen-awareness」とメンションしてモデル自身に画面を確認させる、という3つの呼び出し方があります。
Dictationは、話した内容をその場でテキストに整形し、使用中のアプリへ直接貼り付ける音声入力機能です。 話し方の癖や言いよどみを整えるAuto Stylingに加え、独自の表記を覚えさせるCustom Vocabulary、話し方の指示を渡すInstructions、アプリごとの定型フォーマットを登録するStylesを設定できます。
AgentsとSkillsで会話の設定を使い回す
Agentsは、以前Presetsと呼ばれていた機能で、複数のチャットで使い回せる設定のまとまりです。 一つのAgentの設定を更新すると、そのAgentを使っているすべてのチャットへ変更が反映されます。
Skillsは、よく行う作業向けの指示や知識をRaycast AIに持たせる機能です。
各SkillはSKILL.mdというファイルに、いつ使うべきかと、会話に持ち込む知識や手順を記述します。
Raycastは送信するメッセージの内容を見て、設定済みのフォルダ(既定では~/.claude/skills、~/.config/agents/skills、~/.config/raycast/skills、~/.agents/skills、または「Skill Folders」で追加した独自フォルダ)から関連するSkillを自動で読み込みます。
SkillsはAI ChatとQuick AIで機能しますが、AI Commandsは狭く予測可能な動作を目的として設計されているため、AI CommandsではSkillsを使いません。
料金は無料版、Pro、Advanced AI、BYOKで条件が違う
2026年8月2日に確認したRaycastの公式料金ページでは、個人向けFreeは0ドルです。
基本機能はすべて使え、コミュニティ製の公開拡張機能にもアクセスできます。
AIについては、公式Usage Limitsページによると、Windows版と新しいMac版(v2)のユーザーは、Beta期間中、1分間50回・1時間300回のレート制限内でGPT-5.4 miniへ無料で無制限にアクセスできます。
iOS版と従来のMac版(v1)では、無料メッセージは合計50回までで、それ以降はProへのアップグレードが必要です。
Proは年払いで月額換算8ドル、月払いでは10ドルです。 基本のレート制限はFreeと同じですが、OpenAIのo3-miniやo4-miniなど一部モデルは24時間で150回までに制限されます。 より上位のモデルを使うには、Proへ月8ドルを追加するAdvanced AIが必要です。 Advanced AIの制限は3時間で75回、24時間で150回に加え、Claude OpusやGPT-5.5のような特に強力なモデルは、1週間・1モデルあたり50回までに制限されます。 Advanced AIは、Raycastの無料試用期間中には含まれません。
自分のAPIキーを使うBYOK(Bring Your Own Keys)は、Anthropic、Google、OpenAIから1つずつキーを追加でき、iOS版ではOpenRouterにも対応します。 設定は「Settings → AI」の「API Keys」からキーを貼り付けて検証するだけで、Proサブスクリプションは不要です。 BYOKで発生するAPI利用料は、Raycastの契約とは別に、各プロバイダーの標準料金として利用者が直接負担します。
法人向けには、共有スニペットとクイックリンクをそれぞれ30個まで使えるTeams Free(ユーザーあたり0ドル)と、共有数が無制限になりAI Control Centerを含むTeams Pro(ユーザーあたり年払い月額換算12ドル、月払い15ドル)があります。 Enterpriseはカスタム価格で、SAML、SCIM、独自ドメインの取得、IP制限に加え、組織全体でのAIオン・オフ切り替え、組織単位のBring Your Own Keys、AIプロバイダーの許可リスト、独自AIプロバイダーの接続を含むAI Control Centerを利用できます。 学生はAdvanced AIを除くProが50パーセント割引の対象です。
無料版のAI枠や対象モデルは変更される可能性があります。 購入前に公式料金ページで、年払いか月払いか、使いたいモデルが含まれるかを確認してください。
選択文、履歴、拡張機能の権限を分ける
Raycast公式のAIプライバシーとセキュリティのページでは、Raycast AIは質問の送信、AI Commandの実行、直接的な操作など、利用者が明示的に呼び出した場合にのみ動作し、バックグラウンドで自動的には動かないと説明されています。 呼び出した機能が使う選択文、添付ファイル、画面の内容、拡張機能の情報は、その処理の対象になります。 同ページでは、送信したプロンプトを記録・保持しないこと、機微な情報を収集・保存しないこと、フィードバックの送信は完全にオプトインであること、データをAIモデルの学習に使わないこと、通信を暗号化していることが明記されています。
AI ExtensionsとMCPでは、公式Manualによると、既定でツールを実行する前に承認を求めます。 特定のツールについては、「Settings → AI → Permissions」から「Always allow」を有効にすると、以降は確認なしで実行されます。
個人情報や社内データを扱う前に、生成AIへ渡す情報と外部連携の決め方も確認してください。
公式情報
- Raycast Manual
- AI | Raycast Manual
- AI Chat | Raycast Manual
- AI Commands | Raycast Manual
- AI Extensions | Raycast Manual
- Screen Awareness | Raycast Manual
- Dictation | Raycast Manual
- Skills | Raycast Manual
- Usage Limits | Raycast Manual
- Bring Your Own Keys | Raycast Manual
- Raycast AI Privacy & Security | Raycast Manual
- Raycast Pricing